食らう風景
いつものように
昼食をとる
のれん越しに
店の中を偵察すると
常連客ばかり
ところが、一人だけ、
いつもの私の愛席で
見覚えのない背広姿の男性が
とんかつを食べている
一つ開けて隣の席に座った
「もう少し、早く、来ればよかった」
肉団子を口に頬ばりながら
ご飯をかき込んだ
それにしても
めずらしいものを見ている気がする
ラクダだ。
隣の男はラクダのように、
とんかつを食べている
すり鉢に入れたキャベツを
すりこぎ棒でぐるぐる回す、
そんな口の動き方をしている
まねしてみたが、無理だった
私は、肉団子を
キツツキのように食らってやった
ざまあみろ。