黄色の月

黄色の月がネイビーのシルクハットをかぶっていた。香ばしい香りのする葉巻をふかしていた。黄色の月は次第に紫煙にまみれて姿を消した。ところがわずかな時間差で、シルクハットも葉巻もどこかに放り投げて、黄色い満月となってこうこうと地上の片隅を照らしていた。うさぎは隠されたまま太陽の光を反射して、月は穏やかな夜の景色に心地よさを感じているようにうつった。もう少し時間が過ぎると、風にそそのかされた雲たちが寝布団を掛け、黄色の月は姿をくらませた。