1μgの涙

湖畔の片隅から

白い鳥が飛び立ってゆく

微笑みのない白い鳥が

寂しげに飛んでゆく

あるいは身震いするような

嫌悪感で羽が3枚振り落とされて

湖の見知らぬ向こう側へと

羽ばたいてゆく

自分の住処を探しにゆくのだろうか

わたくしは気まぐれな風

吹かれるままにわがままに

そよと流れているのでしょう

気まぐれな風には

鳥が飛んでゆくのを止めることも

向きを変えてあげることも

できやしない

湿った空気から

1μgの涙に似た湿気を

背負ったまま

そよと流れていく風で

いるのでしょう

風には

過去を背負って償うことは

似つかわしくない

飛ぶ鳥の邪魔をすることも

出来ないでしょう

ただ気のみ気のままに漂って

そよと流れてゆくだけ

時には

鳥が羽を休めながら飛ぶ時の

支えくらいはできるでしょう