10月の風に吹かれながら

10月の風に吹かれて

繊細なコスモスの花が

音も立てずにたわいでいる

10月の風は

コスモスのしなりに

魔法をかけられて

純真無垢な赤子の

寝息のように

わたくしの髪を揺らせた後

どこか遠くへ流れてゆく

晩秋の静けさが蘇り

虫の鳴き声だけが弾んでいる

コートの襟を軽く立てて

真っ白な冬の訪れる場所を

探しに出かけよう