13番ホーム
あれは夏の暑い日
街はまだ眠っている早朝
朝焼けが目にしみる
駅までの道
どこかで鳥の声が聞こえる
・
改札口を通ると
プラットフォームに佇む
見覚えのあるシルエット
・
風に揺れるベルベットのように
穏やかなときめきが
一歩ずつ近づいてくる
・
約束の時間に先回りした
シンデレラが
缶コーヒーを手渡してくれた
眠気の覚めない喉に
一気に流し込んだ
シルエットがはっきりと
浮かび上がった
シンデレラは微笑んでいた
・
ほどなく列車の近づく音
・
二人で乗り込んで
ようやくひとつの線路
同じ車窓から同じ風景
揺られながら
時間の先端にたどり着く
・
ここから何処へ
向かって行くのだろう
・
わからない
わかっている
わからない
わかっている
・
ふたりでひとつの未来
駅の名前は
到着した時に決めればいい