流れ雲

ある少年がお母さんと

歩いていました

空はとても晴れていました

そこへ

ゆっくりと雲が流れてきました

少年は思いました

「くも、たべたいな」

それで

お母さんに聞いてみました

「おかあちゃん、

ぼく、くも、たべたい」

お母さんは

少年が突然そんなことを

言い出したものですから

驚いてしまいました

だけど冷静に

「綿菓子みたいな味が

するかもしれへんね」

「あまいんかなあ」

「どうやろなあ」

「そやなあ、ほんまに

あまそうに みえてきたわ」

空の雲は

その会話を聞いていました

確かに

綿菓子みたいな形だけど

食べられたくないので

鯨のカタチに変わっていきました