25時の海辺
砂浜には
花火の残骸
波は低く愛おしげで
月のまぶしさを
錯覚していた
砂の上に
座り込んで
まだ見ぬ人に
想いを寄せる
あるいは
自分の内奥に潜む思考を
深くえぐり出す
いったい暗闇は
開けていくのだろうか
思い通りに
ことの進まぬ若者は
ため息をつくことにすら
躊躇した
旅人なのか
それとも
ジプシーなのか
ラクダもいない砂漠
のオアシス
わたくしは誰なのか
わたくしは何なのか
波音だけに耳を傾け
月の光を眺める
25時の海辺