“Eureka”

エウレカ!と感無量に

心の叫びを覚えたことが

幾度かあった

分かったぞ

とうとう見つけたぞ、と

粉骨砕身の念を持ち

夜を徹して取り組んだ成果を

握りしめた瞬間の

ほんの数秒間の達成感

古代ギリシャのアルキメデスが

エウレカ!エウレカ!と叫んだ

史実が自分の目の前に現れる

エウレカ的体験をすると

それまでの凡庸な自分とは

かけ離れた真実を獲得したことで

他人からは個性の変容と

捉えられることがある

体験したものにしか推しはかれない

苦悩と成果の結実が

わたくし自体を変えるのだ

エウレカ!と

叫んだことのある人間には

日常の宇宙が

全く様相を変えた風景の中に存在し

周囲環境からは理解されない

異端者としてのパラレルワールドを

歩むことになるだろう

いいことなのか、そうでないのか

わたくしには分からない

Eurekaは真実を掌握した者にだけ

響き渡るこだまのような

ものかもしれない

これから先の人生を展望するとして

ただもう一度

Eureka!と叫ぶために

生き長らえる価値が存在するのだろう

そこにはさらに別の世界が待っている