あの頃の、懲りない面々
あの頃に
戻ってみたいんだ
学生の頃
自由だったよね
やっていたことは単純
時間の無駄遣いかもしれない
けれど、貴重な時代だった
なにもかも、解き放たれていた
勉強は人一倍やった
分厚い医学書を
何冊も読破した
だけど、
大統領のように働き
王様のように遊ぶ
世間知らずの
頭でっかちでは
人の気持ちは
分かりはしない
携帯電話のない時代
パチンコいって
居酒屋で馬鹿騒ぎしすぎて
出禁になったり
温泉巡りをしたり
声がかれるまで
カラオケに浸ったり
ボーリング勝つまで勝負の
8ゲーム
自室に戻って
倒れ込むように眠る
目覚めると朝か夜かわからない
部屋の鍵は開けっぱなしで
いつも誰かがやって来て
盛り上がっていた
開放的だった
男子も女子も勝手に
入ってきて
ことわりもなく
冷蔵庫を開けて
飲み食いしていた
そして、いつの間にか
勝手に帰っていった
たいていは
野郎ばかりで
お腹が裂けそうなくらい
腹を抱えて笑い合ってた
大学の講義や実習と
バイト以外に
何の制限もないのだから
どこにいようが
何をしようが
勝手気まま
ただ試験期間は
食事もままならず
最新の医学雑誌や
論文にまで手を伸ばして
寡黙に準備をして
1ヶ月で7Kg位痩せた
試験が終わると
連日食べ放題の
焼き肉屋に通って
すぐに元通り
そういえば
朝、目を覚ますと
大通りの真ん中にある
グリーン帯のなかで
寝ていたことがあった
そういえば
朝、目を覚ますと
JRの駅の待合室のベンチで
寝ていたことに
気付いたことがあった
いずれにせよ
居酒屋で馬鹿騒ぎして
そのまま、
突っ走ってしまったのだろう
そんな愚かな経験を
一緒に連れ合っていた
お馬鹿さんたち
笑っちゃうのが
そのうち2人が
教授になって偉そうにしている
3人がクリニックの院長で
1人が某有名病院の副院長
2人が某科の部長
みんな偉くなっちゃって
まさか学生時代に
お馬鹿さんばかりして
いかれている連中だったとは
誰にも想像付かないだろう
医学の勉強は
人一倍やっていた奴ら
ばかりだったけど
大統領のように働き
王様のように遊ぶ
両方できるやつばかりだった
医学部ってね
入ってみると田舎では
神童なんていわれていたやつばかりで
でも学部内では田舎の神童など
普通の人なんだ
勉強できて当たり前
プラスアルファが
どれだけ個性的であるか
そこがとても大切
どいつもこいつも
変わり者ばっかり
もう一度、あの頃の馬鹿話に
花を咲かせたい