きつねうどんをズルズル食べる　髪の毛が

だしのにおいで染まっていく　きつねうどん

をズルズル食べる　おあげを残してずるずる

食べる　懐かしい楽しみは　ここから始まる

ご飯に　残ったおあげをのせて　だしを上か

らかけると　きつねどんぶりの完成。きつね

どんぶりを　ガサガサ食べる　これって、本

当に、きつねどんぶり？　懐かしい高校の学

食　きつねどんぶりを注文すると　おばちゃ

んは、当たり前のように　どんぶりにもった

ご飯の上に　きつねをのせて、うどんのだし

を　ジャバジャバかけて、手渡してくれる

これって、本当に　きつねどんぶり？　おば

ちゃん　これって・・・　聞いてみる勇気が

なかった。ごはんがベチャベチャになる前に

空っぽの胃袋に　かき込むしかなかった。次

の日の昼休み、またきつねどんぶりを頼んで

「これって本当に、きつねどんぶり？」そう

聞きたくて、聞きたくて、毎日注文を繰り返

した。そうこうしているうちに　飽きてしま

った。空っぽの胃袋へ流し込む行為は、素朴

な疑問の解決を上回って　それがきつねどん

ぶりかどうか・・どうでもよくなっていた。

いま、想う。ごはんにうどんのだしをかけて

上にきつねをのせれば　きっと　きつねどん

ぶりだよ　そんなにお腹が減っている訳でも

ないのに、ごはんがだしでベチャベチャにな

っているのに、そんなものが　どうしても美

味しい。ひとから嫌がられても、僕はまだま

だ、うどんのだしをかけてガサガサ食べる。