はなずみ

「わたし、はなずみ、だけ」

「注射せんといてや」

 

「はなずみ?」

鼻水のことだった

 

診察室で

いろいろな

患者さんと話をしていると

 

病気を治すために

どうすべきかという

医者としての思考と

 

一方で

様々な会話を

楽しんでいる部分が

並んで存在している

 

患者さんのほとんどの方は

いっしょにそういう時間を

喜んで共有してくれている

 

時折、

お母さんの目が怖いこともある

余計な話は結構ですから

さっさと帰りたいんですけど

と、目が光っている場合もある

 

それもごもっともな話

 

でも、よく話していると

いろんな角度から観察できるから

病気も、深くみえてくるんですよ

 

病気は、

聴診器や舌圧子や検査でも

みえないことがあるんです

 

いろいろな会話が

病気を見えるものに

変えてくれることがあるんです