アンダンテ
モーツァルト
ピアノ・ソナタ 第11番
イ長調 K 331
ソナタ形式の楽章が
ひとつもない特異な作品
第1楽章に
アンダンテの変奏曲
森の小径を
きっと散歩している
恋人同士が
子犬のように
戯れている
青空と少し乾いた風
髪がたなびき
少女は微笑んでいる
はしゃぎすぎて
小石に躓いてよろめいた
その腕を支える
少年の純真な動き
歩いている
二人とも
歩くような速さで
森の小径を
心置きなく
散歩している
青空と風と笑顔
三つが重なり合って
ロンドを舞っている