エバーグリーンの遠い記憶

草原で

風に吹かれていた

 

帽子が飛んでいった

 

帽子を追いかけていった

 

走っても

走っても

捕まえられない

大切な帽子

 

石ころにつまずいて

意識が遠のいていった

 

この上ない緑が映える

エバーグリーンの草原で

私は帽子になって

風と戯れていた

 

気がつくと

足元にあの帽子が

戻っていた

 

あれは

風の悪戯だったのか

 

あれは

帽子の意思だったのか

 

エバーグリーンの草原は

微笑んだまま

風に揺れていた