雨が降ってね

キンモクセイが

地面に

散らばっていたんだ

 

大好きな

キンモクセイの香り

それがね

足元から香るんだ

 

オレンジ色の小雨の中

傘もささずに

歩いていると

 

つかの間に

キンモクセイと

仲良しになれた

気がしたんだ

 

うれしかったよ

それは、それは

心が洗われたよ

 

オレンジ色の雨の中

キンモクセイを眺めながら

キンモクセイの絨毯の上を

歩いたんだ

 

オレンジ色の雨は

キンモクセイの雨なんだ

秋に別れを告げる雨なんだ

 

オレンジ色の小雨ならば

秋風も近寄ってこれないんだよ

 

秋の風は慎み深くて

北風の吹く予感がすると

何処かへ行ってしまうのさ

 

耳を澄ましてみるとね

ほど遠くない何処かに

冬の鐘が

かすかに鳴り響いていたんだ

 

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