シェリーワイン

シェリーワインの香りだけで

酔いがまわっていく

アンダルシアの風景が

いつの間にか現れた

訪れたことのない場所なのに

情景が浮かんでくる

遠くから鳥瞰しているような

ぼんやりとした緑の平原と

明瞭な青い空

そして

表現の仕方が分からない

ワイナリーの静けさ

手についたブドウの色

幾つも幾らでも

階層的に現れる風景は

シェリーワインの生まれ故郷の

穏やかな自然を運んでくれる

ワイングラスを

見つめているだけなのに

そこにアンダルシアの風景が

投影されて香っている

いつかきっと

クレールの髪が

アンダルシアの風に吹かれて

それを横で見ている

自分がいるのだろう

クレールの髪は

シェリーワインの香りを

漂わせている