井の頭公園
十代の時
あこがれていた公園があった
井の頭公園
あるドラマによく出てきた公園
二十歳のとき
まだ経済学部の学生だった僕は
余りにもの暇を持て余して
東京で1ヶ月ほど
いろいろなものを見て、
放浪していた
もう40年近く前の話
確か昭和60年くらい
井の頭公園に行ってみた
思ったほど綺麗でもなく
ドラマの中で見た場所を
探して散歩した
コイが跳ねて
歓迎してくれたが
何だが実物の公園を
歩いてみても
しっくりこなかった
ドラマのイメージが創り出した
想い出に近づくことはなかった
当時の東京は
建物はどれもこれも高いのに
空は低く感じて
窒息しそうになった
渋谷 忠犬ハチ公前の
スクランブル交差点も
あふれかえる人混みの中で
ほとんど誰も
視線を合わそうとしない
人の流れで孤独を感じた
二十歳の僕にはそれでも
東京で生きていこうと考えたが
いろいろあって諦めた
東京では様々なものを
見聞きして
今から思えば随分
社会勉強になった
憧れの井の頭公園
自分の眼で確かめて思った
ドラマの中でほど、
現実はうまくいかない
当たり前のことだけど
二十歳の僕には
自分の眼でみるまで
分からないことだった。
憧れと現実は違う
初めて実感させてくれたのが
井の頭公園だった
知らぬが仏
虎穴に入らずんば虎子を得ず
二つの格言は表裏一体
言葉を知らずに
言葉に寄りかからずに
行動するのが
若い証拠
何処で線を引くかと考えて
行動できるのが
大人といったところだろうか
言葉の意味を
溶かし込みながら
時には
見る前に跳ぶ
今でも