傷跡
傷跡が
あちらにも
こちらにも
世界中
数え切れないくらい
今も血が流れ続けている
人々は
傷跡を残しながら
二一世紀まで
渡ってきた渡り鳥
傷跡が残るなど
あとで分かること
その傷跡を
どうすれば
癒やすことが
出来るのだろう
幸せであるはずの
よりよい世の中を、
という想いを抱えながら。
二〇世紀に刻まれた
日本の歴史の大きな傷跡
来日しても
謝らなかった
しかし
彼はある血の通った人間を
抱きしめた
確かに
歴史の傷跡を
癒やそうとしていた
だから、
胸が詰まる思いがした
それしか出来ない
彼の気持ちが
痛かった