冬の蛍

底冷えの古都

鴨川のほとりを

二人静かに

歩く

 

凍えたつま先を

川面に向けると

あちらにも

こちらにも

蛍がゆれている

 

強く握りしめた

肩に食い込む

やせ細った指先に

蛍が止まった

 

あなたは

その輝きが

消えないうちに

唇でそっと

あたためた

 

ためらいがちに

消え去った光は

赤く染まって

川面へと

戻っていった