卒業
蒼い想い出
淡い恋心
最後の制服姿が
遠ざかっていく
卒業証書を握りしめる右手が
いきおい元気なせいか
寂しい気持ちで
後ろ姿を見送っている
汗まみれで駆け回る
グランドを
いつも校舎の窓から
眺めていた
テストの時間に
ためらいもなく
書き続けるシャーペンの音が
私の答案用紙も励ましてくれた
学食前の自動販売機
足りなくて困っていたら
何も言わずにコインを流し込んでくれた
違うボタンを押して
苦笑いしているのが素敵に思えた
一度も言えなかった
どうしても
口元まででかかったけど
急降下のジェットコースターに乗り込んで
安全ベルトを閉めていた
こんな気持ち
蒼い想い出
時間を巻き戻しても
やっぱり
言えない・・・一言
桜がまぶしくなる頃には
違う制服
でもね、
あなたの肩についた桜の花びら
そっと払ってあげたい
そんな空想、
卒業アルバムにしまい込んで
閉じたまま本棚に飾っておく
蒼い想い出
淡い恋心
あのひとの最後の制服姿が
遠ざかっていく