古代エジプト人の眼
遥か三千年ほど前だろうか
古代エジプト人の描いた
絵画の中で
不可解な人達が
こちらを見ている
顔は横を向いているのに
瞳はこちらを見ている
そこから見られて
逃れることが出来ない
見ているのではなく
見られているのだ
視線に捕囚されて
身動きが出来なくなる
エジプトに来るように
よばれているのだろうか
まぎらわしい錯覚が
錯覚ではない気がしてくる
こちらがあちらを見ている
あちらがこちらを見ている
ロープウェイのようなものに
視線が乗っかって
思考が移動して
あちらの世界と
こちらの世界が
繫がっている
お互いの伝統とでも
いうようなものが
戦を始めるのではなく
感情が繫がってゆく
ノスタルジックなつむぎが
時代を超えて
涙を流すように
心を温めてくれる