地平線のかけら
地平線のかけらを拾った
古びた雑貨屋の前に
放り出されていた膠漆の塊
値札も剥がされて
雨に打たれていた
地平線の傷口に向かって
とにかく急いだ
地平線の傷口を
拾ったかけらで埋めなければ
空と大地が引き裂かれてしまう
焦燥感に圧迫された
どこまで行っても
地平線には及ばず
遠くからしか認識できない
仮想の境界線であることに
気がついた
地平線のかけらを放り投げた
地面のくぼみにはまり込んで
かけらの居場所が見つかった
役割を果たし終えた幻想に包まれた
いつの間にか日が暮れて
地面の凹凸も見えなくなった
地平線のかけらは石ころ
地平線の傷口は地面のくぼみ
それでも
大きな夢を見続けていたい