変貌するとき 〜 ストロベリー・ムーンの夜〜
傷ついた掌のかさぶたを
そっと、剥がすと
透明な想い出が蘇った
色のない光に無理矢理、
色彩を放つ時代を
植え付けて
満足げに微笑む
コヨーテとなった
大きく叫び声を上げると
かなたから
涼しげなオオカミが
訪れ、
光らした目を
自慢げに見せながら
通り過ぎて行った
この月夜の、
そよ吹く生ぬるい風と
真っ赤な月影は
お前だけのものではないと
威嚇して
古い傷に
痛みを想い出したとき
誰もが、
暗闇の猛獣に変貌する