Plastic Flower

大切な花を

ドライフラワーにした

はずなのに

 

陽射しに色あせて

想い出に影が差した

 

プラスチックの

かけらのように

花びらが

落ちていった

 

散らないように

ドライフラワー

 

だけど

散らずに割れて

飴細工のよう

 

時のうつろいを

嘆いても

想い出の写真が

モノトーンへ

変わっていくように

 

ドライフラワーは

陽射しに溶けた飴細工

 

季節を忘れた

渡り鳥のように

脈略もなく

何処かへ

羽ばたいてゆく

 

大切な花

ドライフラワー

飴細工の欠片

 

時間は通り過ぎる風

傷ついた心を癒やしながら

 

そう想っていたかった

 

時間の流れは

意地悪な道化師を

演じていた

 

その日から

失った飴細工の欠片を

君が運んでくれると

信じてた

 

祈りにも似た

心の中のともしびを

消さないように

守り続けている

 

大切な花は

ドライフラワーにして

一輪挿しの花瓶

 

手の届く場所で

過ぎ去った日々に

添い寝する