度の合わない眼鏡

晴れ時々曇り

曇り時々雨

空を見て

雲の形を見て

風の流れを見て

傘を持って外出する方が

いいのかどうか考える

わたくしはどうだろう

晴れ時々曇り

曇り時々雨

空をぼんやり眺めて

雲の形を何かに例えて

風の流れを感じて

外に出る

傘を持って外出する方が

いいのかどうか

頭の中に浮かんでこない

わたくしの日常

空が行動のための情報源と

考えることを忘れている

気持ちのいい天気とかその程度

ただの面倒くさがりなのだろう

空模様という一つの絵画を

美術館の中で眺めているのに

似ている

美術館に展示してある絵画の前で

傘を差そうという発想に

至ったことが一度もない

そういう絵画に出会えば

空を見上げた時に

傘を用意するように

なるかもしれない

自分の視線を

熱心にフォーカスする部分と

ぼんやり眺めておく部分

人それぞれに違うだろう

わたくしの場合には

仕事以外の場面に限っては

フォーカスを合わせない方が

かえって

個々の事象が

オリジナリティのある心象に

変換される気がする