影ふみ
追いかけても、追いかけても
人影は前へ後ろへ交差する
そして突然
目の前からいなくなる
かくれんぼ?
それともビルの影に
まぎれてしまったのか
電柱にもたれかかった人影
象牙色の細長いシルエットが
手招きしている
ゆっくり通り過ぎても
電柱に潜む影は
水平に移動して
実像は半分笑ったままで
つかめない
追いかけるのはやめよう
そう決めたせいなのか
強い日差しが背中を熱し始めた
追いかけても、追いかけても
影は右へ左へ交差する
一つの立ち止まった影が
手鏡に反射した光のように
もう一つの影に近づいていく
まぶしくて目を細めると
二つの影が一つになって
再び長く
道の向こうまで
伸びていった