後ろ姿

後ろ姿

それは夢の中の幻ではなく

覚醒した視野の中での

リアリティ

後ろ姿は

何らかの一区切りの後に

遠ざかっていく

シルエット

見届ける者は

だから考える

だから感じる

後ろ姿は

何かを語っている

何かを語らせている

何かを想いこだわらせている

残り香を風に乗せ

無意識を宿す深淵に

抵触する視覚的オブジェ

顔の表情は隠れたまま

手を振られたり

肩越しの雰囲気が

微笑みを生んだり

涙を流させたり

後ろ姿は

それを見送る人の

感情が真実かどうかを

見通して進んでゆく

後ろ姿が見えなくなって

跡に残るのは

寂しげな追憶の感傷であるのか

それとも

再会に込められた希望であるのか

残像を愛おしんで贈るまなざしが

背中で受け止められて

いるかもしれない

後ろ姿は

うちに秘めたドラマが

存在する場