あるお店で

焼き明太子おにぎりを

注文した

 

ガブッといこうとすると

おにぎりの結びが

あまりにも弱いので

 

一口食べようとしたら

お皿の上で

一気に崩壊した

 

米粒の小さな団体様が

姿をくらました

 

捜索願いを出したけれど

見つからなかった

 

帰り道

電車の中で

足を組んだとき

 

向かい側に座っている

美少女に笑われて

はたと気がついた

 

米粒の小さな団体様は

靴の裏側に

いらっしゃった

 

照れくさくて、気恥ずかしい

 

ええおっさんが

靴の裏に米粒のかたまりつけて

平気な顔で足組みして

人前にさらしている光景

 

でも、笑いを誘えたことが

何だかうれしくもあった

 

悪いのはぼくじゃない

 

おにぎりをしっかり握らなかった

店の人が悪いんだよ

などと、

言い訳する事も出来ず

 

見つかってよかったねと

単純に考えることにしておいた

 

米粒の団体様、

申し訳ございませんでした。