晴れていたから
晴れていたから
手をかざしてみたんだ
手のひらが紅葉みたく
あからんで
青空に溶けてった
赤と青のコントラスト
秋なんだろうか
晴れていたから
まぶたを細めて
空を仰いだんだ
そしたら黄色いキンモクセイ
夏に残してきた蝉の抜け殻も
土に帰って黄色く光った
つまずきかけた足の先には
いがぐりが落ちていたんだ
茶色く染まった いがぐり
思わず足で踏みつけたら
言いたいことが、
閉じ込められた
拾い起こしてポケットに
入れたんだ
もう一度、
夏に戻ってくれないかなって
願ってみたんだ
そしたらね
ポケットの中はドングリだらけ
僕はマジシャンなんかじゃない
晴れていたから、まぶしくて
君の日傘に入れてくれないかい
日傘がいい匂いだね
きみはもっといい匂いだね
夏を振り返ること
止めることにしたよ
秋は きっと しあわせだね
冬も春も きっと しあわせだね
だから
前へ進むよ
もっと前へ進んでいくよ
晴れていたから
手をかざしてみただけなんだ