月が半分の夜
月が半分に割れた夜だった
・
半分は夜空の中で
ゆったりと構えて輝いていた
まるで誰も乗っていない
ゆりかごのように沈黙していた
・
もう半分は宇宙のどこかに
消えていった
迷子になった子うさぎを
探すために旅立った
・
子うさぎはかくれんぼが好き
子うさぎはいたずらが大好き
だから月を困らせようとして
宇宙のかけらのふりをした
・
もう半分の月が
困った顔をしていると
ポラリスがきらりと輝いた
子うさぎの姿が一瞬映し出され
それを見つけたもう半分の月が
迎え出た
・
子うさぎはもう半分の月に
ひょいとばかりに飛び乗って
居心地の良さを思い出した
もう半分の月はブーメランのように
回転を始めると半分の月と合流した
・
まんまるのお月様に包まれて
子うさぎの気持ちは
ゆっくりゆっくり安らいだ