海辺のカフェにて
海辺のカフェで
カモメと会話をしていた
コーヒーを一口飲むと
カモメは不思議そうな顔をして
こう言った
「何を飲んでいるんだい
真っ黒じゃないか
香りはわかる気がするけど
その色は良くないよ
僕たちはね
いつも
青空色の海の水
潮風の香りがする
透明なやつ
それに限ると思うけど
人間は変わっているよね
その色、見ただけで
飲む気が失せるよ」
「嗜好品ってわかるかな
人間はね
生きて行くにはね
毒が必要なんだ」
「変わった生き物だね
笑っちゃうよ」
「人間は人間として生きている
君がカモメとして生きているのと同じさ」
「そうだよね、じゃ」
カモメはカモメとしての
生活に戻っていった
高らかに羽ばたいて
優雅に飛んでいった
わたくしは
さめたコーヒーを飲み干した