湖畔の風景画
飛行機雲を消しながら
夕暮れは漂い
雲が流れている
薄い水色の空に
細長いネイビーの雲が重層し
ピンク色の飛行機雲が二つ
突き刺さっている
おどけてみせる沢ガニが
空に張り付いているように見え、
おかしくなって笑った
湖面は水紋がか細く浮かび
釣り人の船が通り過ぎていく
後ろに残されたV字のしぶきが
純粋な水紋を複雑に変えた
わずかな時間でおだやかに
水紋がきれいな環を作って
戯れを取り戻した
遠くにとんびが羽ばたいて
夕焼け色に染まっていった
打ち上げ花火の音が
聞こえてくるような幻聴に
暗闇が幕を引いた