無駄のない助言

無機質で

感情のありかが

見当たらない女性の声で

<ドアが閉まります>

<ドアから離れてください>

<ドアが開きます>

毎度

気せずして流れてくる音声が

無造作にはき出すホワイト・ノイズ

数え切れないくらい

あいも変わらず

助言してくれている

記憶に残ることもなく

ありがたみを

感じることもない

規格品の助言

誰も

ありがとうと

返答することもない

無駄のない助言は

世の中に溢れている

我々はそれに慣れ

聞き流して通り過ぎる