疼痛

心から血が噴き出した

 

ためらい色の血液が

ざくざくと、きわだって

もらい泣きしている

 

肌に傷は見当たらず

特定できない疼痛が

体中をうごめき回っている

 

千ものナイフで切り刻まれた

心という曖昧な洞窟から

宝石など見つかるはずもなく

探し求めるのは噴き出した

血液の貯留

 

ざくざくと流れ続ける

もらい泣きは

どんなが治してくれるだろう

はげましも薬も

此の血を止めてはくれない

だれか

教えてくれないか

 

 

 

( 詩と思想 土曜美術出版販売 2017.08. )