眠り川
流れていく
川の水面をみていると
眠りに捕囚される
眠りが身体を
川に沈めて
身動きがとれなくなる
気がつけば水の分子に
紛れ込み
急な流れにヒヤヒヤしたり
穏やかな流れに
身を持ち直したり
魚のうろこに
ひっついたりしながら
知らないところで
知らない景色を
仰いでいる
眠り川は
眠りを誘っているわけではなく
水面をみつめる網膜が
水に帰っていきたいと
望んでいるだけ
眠り川に抱かれたまま
コバルト色に染まって
水に同化していく心地よさを
ただ、堪能して
水の分子を揺らしている