空はこんなにも青い
空はこんなにも青い
そこへ
飛行機が白い雲で線を引いた
あれは
自然と人間社会の
境界線だろうか
近代以来の
自然と人間社会の
包括関係を象徴しているかのように
あまりにも眩しい白い線
しかし
いずれは消えるだろう
こんなことを考えながら
空を見上げていたが
街並みを埋め尽くす
群衆たちは
店のディスプレイにばかり
目を配っている
空を見上げているのは
さしずめわたくし一人のようだ
同じ世界に生きているのだろうか
群衆の中で個を感慨深く
振り返ってみた
こんなにも青い空に引かれた
一本の飛行機雲
気づく人はほとんどいない
ましてや
自然と人間社会の織りなす
思惟にふけるものなど