落ち葉拾い
落ち葉の上を
歩いていた
その弾性の穏やかな
へこみ方が気に入った
古びれて柔らかく
すり切れてしまいそうな
トランポリンの上を
ゆっくり歩いている
雨のない乾いた空気が
肌寒さを敏感にするけれど
その分、メキメキと
心地よい音が
落ち葉から はじけている
足の裏で感じるその
優しさは子どもの頃から
何も変わりがない
不思議なくらいに
どれほど落ち葉の上を
歩いてきただろう
季節のたびごとに
落ち葉の上を
歩きたくなる
母の膝の上
愛するひとの手のぬくもり
季節の移ろいは
優しさを語っている
思い出を重ねる年輪を
剥がすように
落ち葉を拾って歩いた
落ち葉の葉脈が
消えそうになっていたから
胸ポケットに抱えて
暖めてあげた
葉脈には、わずかながら
拍動の気配が残されていた
もう少し
落ち葉を拾いながら
歩いてみよう