街角

湿っぽい感傷に

引きずられて

街角を歩いていた

 

湿度が高すぎて

宙に浮いている

足音も聞こえない

 

見覚えのある街角が

冷ややかに迎え入れた

 

傷心が孤独を誘い

すれ違う人の流れが

ナイフのように

突き刺さる

 

深夜の静けさを

追いかけて

迷い子になった

 

見せかけの優しさが

束ねられて

受け取った花束なら

花は枯れ果ててしまうだろう

 

救いようのない寂しさを

埋める常夜灯を

望んでいるように

 

優しいピアノの鍵盤を

三つだけ弾いて

さまよい続けた

 

想い出を

忘れ物に仕立てて

百マイル

前へ進んでみようか

 

見覚えのない街角が

現れるかもしれない

 

そうしたら

そこには新しい自分が

止まることのない

メリーゴーランドに

乗ったまま

笑顔を

取り戻しているかもしれない

 

金色の木馬に乗って

夜空をかけてみてもいい

 

そのとき、

街角は

味方してくれるだろうか