結晶のワルツ
突然、
雪の結晶って
言葉が浮かんだ
いや、
正確には
雪の結晶のイメージが
浮かんだのだ
いくつも
いくつも
気が付くと
クリスマスキャロルに
登場するスクルージ叔父さんの
店の前に立っていた
雪の降る薄暗い街灯の下に
たたずみながら
店の中をのぞき込んでいた
ステンドグラスで
かたどられたレトロな
オルゴール箱を見つけた
あの箱を開けると
どんな音が流れ始めるのだろう
そんな空想にふけっていた
かすかに聞こえるのは
雪の結晶が踊っている
切ないワルツ
一瞬のうちに溶けては
また一つと、
紡いでゆくはかないワルツ
掌の上に落ちて溶けてゆく
つかの間のワルツ
雪の結晶が手をつないでいる