青い果実
すれ違ったとき
青い果実の香りが
私のほほを撫でた
無表情に通り過ぎる背中
今日も見届けた
残された足跡を
一つ一つヒールで追いかけた
あなたの歩幅に
合わせられなくなったとき
いつもの曲がり角から
私が歩いてきた
わたしは、私と出会った
すれ違いざま
わたしの頬を撫でる
風は冷たかった
「寂しくなど、ないわ」
って、強がってみたら
もうひとりの私が
肩をたたいて
かじりかけの果実を
手渡してくれた
そう、
今度、逢えたら
この気持ち、
伝えてみる